民事上の労働紛争は年間25万件もあって、内訳の第一は「いじめ(パワハラ)」です。
平成24年度に、長年首位だった「解雇」が「いじめ(パワハラ)」に抜かれました。平成25年度には、「いじめ」は15%増の年間5.9万件で、「解雇」は15%減の4.4万件となりました。この傾向は、まだまだ続くと思います。
経営者としては「いじめ」問題に正面から向き合って、きちんと対応しなければ会社をしくじることになります。「俺たちの若いころは、先輩に厳しく言われたものだ・・」などは通用しません。
「おまえはアホか!」「おまえなんか左遷させてやるぞ」など、いわゆる『言葉の暴力』は、典型的なパワハラで、今の世のなかでは100%アウトです。
また、精神疾患に罹る人も増えています。昔もうつになる人はいたのですが、なかなか診断が出ませんでした。お医者さんが、カウンセリングをしながら3週間くらい経過を観て、症状が改善されなければ、やっとうつと認めらました。今は、安全な薬が開発されたこともあって、即日に診断書が出て投薬治療が始まります。
経営者としては、トップダウンでパワハラの予防に努めなければなりません。何度も社員(特に幹部社員)に、パワハラをしてはいけないことを言い続けることが必要です。
それでも、ことが起こったなら、とにかく即断即決です。この問題は、時間が解決するということはありません。早く対処して、再発防止を徹底しなければなりません。
もう一つの視点は、平成25年の労働争議件数は僅かに500件でした。労働組合が弱くなっていることも労働紛争やパワハラの遠因にもなっています。きちんと勉強して実力を持った労組があれば、労働紛争も減るのではないかとは思います。ただ、これは期待薄かも知れません。