近づきすぎると見えなくなる ・・ 社長のための老子(40)

老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第四十七章です。

 

1行目の“不闚牖” が普通は使わない漢字です。

「闚」“うかがう” :のぞきみる という意味です。

「牖」“まど”   :窓と同じ意味です。

 

老子は春秋戦国時代の方です。

戦いに勝利するには、戦いの技術や勇猛果敢さだけではなく、天文や地理の知識が必要でした。

また、戦況を正しく把握して、確率の高い見通しを持って、「勝つのか」「負けないのか」「隙を突くのか」「持久戦に持ち込むのか」などの判断をする必要がありました。

この章で老子が言いたいのは、現場を軽視してもよいということではなく、自然の法則をしっかり学び理解して、環境や状勢を正しく把握することの重要性です。

 

不出戸、知天下、不闚牖、見天道。

其出弥遠、其知弥少。

是以聖人不行而知、不見而名、不爲而成。 

 

社長は、外に出なくても世の中のことを知り、窓から外を覗かなくても自然の法則が理解できるように研鑽を積んでいなくてはなりません、

社長が現場のことに直接関わりすぎると、断片的な情報ばかりに接して、全ての情報を管理できなくなって。かえって弊害が増えてきます。

立派な経営者とは、現場に行っていないけど現場のことをよく知っています。また、直接には見ていなくても評価ができて、自分自身がやらなくても自然に出来上がっているものです。