日本では狭義の廃棄物(ゴミ)の量は10年間で三分の一に減っています。
日本で発生する産業廃棄物の量は、年間で約3億8000万㌧です。僅かづつは減っていますが、この10年間では3%くらいの減少です。3億8000万㌧というと、日本人一人当たりで年間3㌧、1日当たり10kgというスケールになります。こう考えると、ちょっと凄いですよね。
しかし、産廃の多くは脱水汚泥なので水分を減らすなどの減容化をして、先ずは2億2000万㌧くらいになります。現在では、このうちの95%は再生利用されていますので、最終処分されるのは年間1300万㌧です。日本人一人当たりで年間100kg少々、1日当たり400gくらいです。こう考えると、少し安心です。
最終処分量は、1990年には6000万㌧、2000年に5000万㌧くらいでした。当時は、国内のゴミ捨て場の枯渇が心配されていました。
現在の最終処分量は、1990年の4分の1以下です。今の日本では埋立に使う廃棄物が足らなくて困るという皮肉な状況も生まれています。
環境省によると、国内リサイクルビジネスの市場規模は年間15兆円、再生資源の取引額に限っても3兆円という大きさになっています。
では、リサイクルビジネスは有望かというと、そうでもありません。リサイクル率が95%ともなると、現状でリサイクルしやすいものは全てリサイクルされているという状況です。リサイクル量そのものは既に減少してきています。つまり、量的な拡大はありません。
もとが廃棄物ですから輸入するということが殆ど無いので、原則として国内が市場になります。一方で、国内の広域集荷や広域処理が進んでいますから、同業者間の競争は厳しくなっています。
したがって、今後のリサイクルビジネスは、量的な拡大ではなくて、リサイクルのなかでもサーマルリサイクルから、ケミカルリサイクル・マテリアルリサイクルへの転換などの質的な高度化を目指していきます。特に、日本では、リチウムイオン電池とか、炭素繊維とか、新たな素材開発が進みますから、それに合わせたリサイクル技術の開発が必要です。
リサイクルの質を高めるために、その技術もどんどん高度化し、複雑化していきます。中小事業者でも独自の処理技術を開発したり、特殊な装置を持つことで、ニッチな領域でオンリーワン・ナンバーワンの地位を確保できる可能性が高まっています。