首相の所信表明演説で「改革」が連呼されました

 時の首相が「改革」を口にするのは、いつから始まったのでしょうか。

 

 首相になると「改革」と言うのは、決まり文句みたいになりました。小泉郵政改革、橋本行政改革・・・、物心ついたころから、ずっと「改革」されています。 「改革」という言葉が多用されすぎたので、安倍首相は「戦後以来の大改革」と言っています。

 また、「改革」したから必ずしも良くなるわけではなくて、状況を悪化させた事例もたくさんあります。別に変えなくてもよかったじゃないかと後悔したり、一旦変わったけど元に戻したり・・。

 

 さて、「改革」という言葉は、「宗教改革」とか中国の「改革開放」のように使われます。

 元々の意味では「革」は皮のこと(「皮革」)、特になめした皮を言います。革を改めるということですから、この意味では内容よりは外観を改めるということになります。一方で「革」はなめし皮ですから表面を「あらためる」ことができるので、この文字だけで改めるという意味も持ちます。そのときは「改革」は「あらためる×2」ですから、「改良」のような意味になります。ちなみに「革命」とは「天命をあらためる」ですから、外観でなく内容そのものを改めることです。

 「宗教改革」は、宗教そのものを改めるのではなく、免罪符を高値で売って儲けるような教会の腐敗した体制を改めるということです。中国の「改革開放」も、共産党の一党独裁体制などには触れることなく市場経済への移行を図るという行動でした。

 

 さて会社でも社長が代わると「改革」をテーマにされることがあると思います。その際には、「改めること」それ自体が目的にならないように気をつけましょう。

 

 社長の最大の使命は、会社を守り事業を続けることです。会社を守るためには、常に改め続けることが必要であって「改革」をしていきます。会社における「改革」では、この意識を持って少しづつ進めてください。

 どんな大会社であっても、実行できる「変化」というのは限られたものです。そして、変化によって喪失される利益や便益は確実ですが、創出される利益や便益は不確実です。そして、会社を守るための「改革」は、会社の活力を高め、品格を高めるためのものです。役員と従業員が、全員で確認をしながら「改革」していくように心がけていきます。