カープの背番号15が、メジャー複数球団からの20億円以上のオファーを断って、来シーズンは広島に戻ってくることになりました。
朝から広島ファンの間ではメールが飛び交っています。広島ファンはかなり嬉しくて、舞い上がっているところです。来シーズンこそは、CS進出でなく、本当の優勝に絡んでいくことは間違いないと信じています。
それにしても、前代未聞の決断だと思います。背景はいろいろあるのでしょうが、報酬の差があまりにも大きすぎるので、ちょっと信じられないところです。何年か前に、ブラジルのサッカー選手が中国のチームから高額報酬のオファーがあったのに断って、欧州のチームにかなり安い報酬で移籍したという話題がありました。この場合でも報酬の差が5倍というわけではありませんし、その後のキャリアを考えた判断として納得できます。
経営において、戦略的意思決定のメソッドというのはいろいろあります。
代表的な方法の一つに「what-if」というのがあります。これは「もし・・をしたら」という問いを繰り返して、将来のリスクやリターンを想定していく方法です。起点から上方に正の連鎖(リターン)を置いて、下方に負の連鎖(リスク)を置いて、関連した内容を矢印で結んでいきます。そのなかから許容できないリスクを発見する方法です。
今回の黒田投手でも、何かの原因で「広島カープで本来のパフォーマンスが発揮できない」という可能性はゼロではありません。それを想起したリスクの連鎖も考えたはずです。また「広島カープのチーム力が優勝争いに不足している」という場合のプレッシャーなどから想起されるリスクもあります。逆に、「広島カープが断トツで優勝する」というリターンも大きな可能性であります。「ステータスがアップする」とか「新たな機会を獲得する」といった連鎖も考えられます。
黒田は「理屈抜きにカープ愛で決断したんだ」と単純ではなくて、よくよく考えての決定と思います。広島ファンに限定されるかも知れませんが、今回の黒田投手の思考を追いかけてみるのは、意思決定の勉強会のよい教材になりそうです。