今日は今上陛下の81歳のお誕生日です。今年の御言葉で取り上げられた人物を紹介します。
天皇陛下は、日本と日本国民のことを最も深く想っている方です。しかし現行の枠組みでは自由な発言を許されない立場でもあります。
さて、古来より君主はいろいろな暗示を残すものです。
国賓を迎えての宮中晩さん会で、天皇陛下は御言葉を述べられます。今年の晩餐会で陛下が挙げられた国家元首・皇族以外の方の名前が少々意外で興味深いので紹介します。
今年迎えた国賓は、ベトナムのチュオン主席(3月)・アメリカのオバマ大統領(4月)・オランダのアレキサンダー国王(10月)の御三方です。ご挨拶の中で、それぞれ一人ずつ、その国の一般人を挙げられて相手の国に感謝されるという趣旨のお話をされました。
ベトナムでは、仏哲です。8世紀に、唐を経て日本にやってきたベトナムの僧侶で、東大寺大仏開眼の際に舞を奉納しました。この頃のベトナム音楽は、現地では既に忘れられていますが、日本では現在も雅楽の楽曲として演奏され続けられています。
極東にある日本はアジア文化の保管庫の役割を果たしているということを、隣国に対して諭されているように思います。
アメリカは、ペリー提督を挙げられました。この方は有名なので業績は割愛します。
関ヶ原から戊辰戦争までの270年という長い期間を平和に暮らしていた日本を武力で開いたのは米国です。今の世界の情勢を顧みてしっかり責任を果たしてくださいという大統領への激励でしょうか。
オランダでは、デレーケです。これは、最も意外な人物を取り上げられたと思います。
デレーケは明治政府のお雇い外国人技師の一人です。内務省技術顧問という肩書の土木技術者で、日本の治山砂防技術の基礎を築き、「砂防の父」と称された人物です。しかし、オランダ国王にとって既知の人物かさえ疑問です。
8月の広島での大規模土砂災害の原因には、度重なる砂防工事の棚上げが招いた人災という側面があります。政府や地方自治体に対して、国土の保全をしっかりして、このようなことを繰り返さないようにと叱咤されたものと思います。
天皇陛下がいつまでもお健やかでありますよう。