将棋で名人と並んで最も権威のある竜王のタイトルを広島市出身の糸谷さんが獲得しました。
広島に住んでいたころ、高校に入ったばかりの糸谷さんを見たことがあります。当時はまだプロでなくて奨励会にいたのですが、もちろん地元では有名でした。広島県出身の棋士がタイトルを獲得するのは、故:升田幸三(現在の三次市)さん以来で二人目だそうです。
糸谷さんは大阪大学の現役の大学院生で哲学を専攻しているということですが、あまり周囲を気にかけない奔放な振る舞いもあって、かなりの変り種として紹介されています。まぁ、将棋のプロ棋士になる人は皆さん大なり小なり変わっているとは思いますが、そのなかでもということのようです。
升田幸三さんは、大名人大山康晴(岡山県出身)の好敵手として有名です。仏像のように動かずじっと盤面を見つめる大山名人と、片膝建てて紫煙をくゆらす升田挑戦者という構図は絵になりました。
広島県出身の将棋棋士は、株主優待だけで暮らしているという桐谷広人さん(竹原市)がテレビや雑誌に多く取り上げられています。小説や舞台になっている「聖の青春」のモデル故:村山聖さん(府中町)も有名です。現役では、東大在学中にプロになった片上大輔さん、過激なトークで人気の山崎隆之さん(いずれも広島市)など、ユニークな人材が揃っています。
高校生の糸谷さんがプロになったとき「将棋は斜陽産業なので立て直したい」と言ったそうです。産業としての将棋という分析も面白いかと思います。