中小企業政策は、創業・ベンチャー、新事業・海外展開、再生・経営安定の3つが重点です。
選挙がはじまりますが、各党ともに「中小企業支援」を掲げています。党によって、目的が景気浮揚だったり、格差是正、雇用拡大だったりしますが必ず盛り込まれます。今回は、年末選挙ということもあるのか、中小企業支援イコール「中小事業者の資金繰り支援」という色合いが強くなっているように思います。輸入原材料の値上がりや賃金の上昇で資金繰りに困る中小事業者は増えていますので、とてもありがたいことです。
中小企業政策の重点は上の3つで、それぞれもっともです。日本においては、若者や女性の創業を促し支援することは極めて重要です。よい技術を持っていても新しい分野に踏み出せない企業の後押しをすることも大切です。財政基盤が弱い事業者を支えて事業再生を進めることは地方創生につながります。
中小企業に対する政策的支援は、中小企業基本法と中小企業支援法を基本として小規模事業者支援促進法などで体系的に行われていて、中小企業者を支援しようという仕組みになっています。この仕組みがうまく機能していないという指摘もその通りと思いますが、それでも下請法などは中小企業をよく守っています。
但し、これは反対に親事業者の側から見ると多くの負担を強いられる極めて厳しい法律とも言えます。このために、もっと大きくなりたい企業が、中小企業の領域から飛び立てなくなるという危険があります。
日本のものづくり(製造業・建設業)の場合、どんなランキングを見ても、上位は戦前あるいは戦後すぐに創業した企業だけが顔を揃えます。(ユニクロやソフトバンクを新しいものづくり企業と言う場合は別です。)
日本の中小企業には、地道な努力を続けてきて、従業員100人・売上高50億円・優良な知的財産や海外拠点を持っているなんていう会社もごろごろあります。ところが、こういう会社に欲がないのです。無茶な大欲を持っていないから成長したということも言えるのですが、顧客の大企業とも協力する小企業とも良好な関係を持って、よい仕事を続けています。
こういう会社に、大きなリスクは政策支援をしたうえで、少しの勇気を持ってもらって、資本装備率を大きく高めて飛躍してもらうことを期待してもよいと思います。これが第四の視点です。
以下、細かい数字の根拠は薄弱ですが・・
候補になる優良な中小企業はざっと3000社。現在の年間売上高は合計10兆円。この3000社に集中的な支援をおこなって、5%の150社を5年以内に売上高1000億円以上の企業にし、5年後のは3000社合計売上高30兆円を達成し、10年後には10社の新しい1兆円企業を誕生させる。なんていうことも不思議ではありません。支援の財源は、大企業(資本金100億円以上)の法人税の実質免除額から、ほんの少し廻してもらうとよいかと思います。