「継続は力なり」はいろいろな意味で使われます

「継続は力なり」は多くの方が使う格言ですが、人によって意味が違います。

 

 本来の意味は、「青年が、念願を抱いてひとつの道に生涯を掛けて精進したら、その事業は大成をし、人としても強く立派なものになる。」といった壮大なものだそうです。

「小さなことでも何度もやっていたら、うまくできる」とか、受験勉強などで「不得手な科目でも、こつこつ努力すれば身に着く」といった身近な意味で使われることも多いと思います。

 

 

テレビ東京に「和風総本家」という、日本の職人技などを紹介する番組があって、ちょっと面白いです。先日「本バレン」を作る職人さんが紹介されていました。

 

バレンは木版画の摺り道具です。図画工作の授業で使ったのは、ボール紙を樹脂製の当て皮で包んだ簡単なもので、これは「代用バレン」と言われるそうです。

一方、「本バレン」は、和紙を数十枚重ねて貼り合わせた上に漆を塗って仕上げた当て皮と竹皮を細かく裂いて撚り合わせたものを渦巻き状に巻いたバレン芯を、真竹の皮で包んだものです。物凄い手間を掛けて手作りされます。木版画を専門にされる方にとって、本バレンは自分の腕が指の一部で、その良し悪しで作品の出来が全く変わってくるそうです。

 

 毎日「本バレン」を作り続ける職人さんは、和紙の重ね方や糊の乾き方の小さな変化も見逃さずに、微調整をしながら最高品質のバレンを作っていきます。

この職人さんにとっての「継続は力なり」とは、「毎日続けることによって、非常に小さな差や変化に気づく力を身に着ける」ということです。

 

ものづくりでは、この小さな差に気づいて修正をしていくことが、よい製品を作ることや不良品とか災害の発生を防ぐために最も重要なことです。

専門保全による間隔を開けた定期点検整備ではなく、毎日現場で現物を見ながら五感を研ぎ澄まして行う作業のなかでしか分からないことです。そして、このように継続によって身に着けた五感からの能力は、簡単には他人に教えることができませんから不可欠な人材となります。