続き:奴隷のように働くだけでお金持ちになれるか?

 原則として、収入より支出が少なければ、お金は貯まっていきます。したがって、この状態を維持すれば、いつかはお金持ちになれます。

 

 実は、会社の経営改善をするときに、最初にするのは支出の抑制です。これは家計でも同じです。

 支出の削減を先行させる理由は、「簡単」だからです。

 

 会社でも家計でも問題をかかえているところは、冷静になって検討すると「あれ?このお金は何のために使っていたのかな?」といった対価が曖昧な支出があるものです。こういう支出を見直すことで、思いがけず大きな収支の改善につながることがあります。

 もちろん、曖昧な支出があると言っても、その支出をすると判断したときには、曖昧ではなかったのです。そのときには、合理的な判断の下で決定を下したのです。

 

 例えば、保険料などの場合などはよく理解できます。

 保険に加入することを決定した時点ではその判断は正しかったのです。しかし、自分も家族も年齢を重ねて、子どもが巣立ったり、親が亡くなったりと、家計の事情も変わってきます。今となっては、「なんでこんなに高い保険料を長年払っていたのか?」と悩むことにもなります。

 悩んだら、見直しをすることです。

 

 さて、スーツを買いに出掛けて、似たようなスーツが3万円と5万円と10万円で売られていたら、ついつい5万円のスーツを買ったりしませんか? 比較するものがあると中間を取るのが、人の心理です。(店側は、この心理を利用します。人は松竹梅の値付けに弱いのです。)

 そして、こういう人は5万円と10万円と20万円のスーツが陳列された店で、ついつい10万円のスーツを買ってしまうのです。

 冷静になって、5万円のスーツと10万円のスーツの違いを探してみます。その違いに5万円の価値が見つけられることは少ないかも知れません。

 

 宝くじに当たることは稀でしょうが、何かの事情で不労所得が入ることがあります。例えば、思いがけない5万円が手に入ったら、ついつい買おうと決めていた5万円のスーツを10万円のものに変えることもあるでしょう。

 これは、そのときには正しい判断ですが、後になると5万円のスーツを2着買うか、5万円を現金で持っておいたほうがよかったと後悔することもあります。

 

 人は長い期間に渡って、ずっと正しいと確信できる判断をすることは難しいということです。そのときは正しくても、後になれば判断が変わることがよくあります。

 お金を使うときには、冷静に・慎重に・多面的に検討してから判断することです。

 また、判断が変わったときには、過去の自分に引きずられないで、早々に改めることも肝要です。

 

 まとめると、奴隷のように働くだけではお金持ちになれません。

 奴隷のように臆病に・慎重に暮らすことで、お金持ちへの道が開けます。

 本当のお金持ちになるのは、奴隷のように暮らして手にした元手が、新たなお金を生むようになってからです。・・長くなったので、この続きはまた。